第6章 涙が零れる夢物語の世界
「変な事を聞きますが、この本って…普通に本屋に売ってるの?」
『売ってるよ、俺は興味ないから読んでないけど、結構人気の漫画みたい。確か軽く聞いた内容だと…主人公の何とかって「高津芹佳?」
『あ、そんな名前だった気がする。その財閥のお嬢様が親友の何だっけ…』
「…吉井紗耶?」
『そうそう、その二人が、「他の世界から6人の男を呼び寄せて?」
『詳しいね、アンタも読んでるの?』
…読んでるって言いますか、何て言いますか、
丸ごと、私と紗耶の実体験なんですが…うーむ、どう説明したもんか。
『そう言えば、アンタの名前も確か芹佳サンだよね』
「えぇ、ソウデスネ」
私がその漫画の主人公かもしれないと言ったら笑うだろうか。
「ーーちなみに、私の親友の名前も紗耶、って言いますが」
『へー、すっごい偶然じゃん』
「あはっ、そうですね!そんでもって、何を隠そう私も“高津財閥”の一人娘です」
『…それって本当に偶然?』
聞かないで、むしろ聞きたいのは私ですから。
何、本当に何なの、この世界!意味不明すぎるんだけど…!
『…アンタと会話してると頭痛くなる。さっさと行くよ』
頭が痛くなるのは私です。
もう、間違いないよ、ここはテニプリの世界で、
私は、何でか知らないけどテニプリ世界にトリップしてきちゃったわけで。
しかもしかも、私たちが漫画の主人公になってるぽくて!?
「いっや、意味不明ーーっ!!!」
『意味不明なのはアンタの頭』
「そこ、地味に突っ込み入れないで」
『もういいから行くよ』
そして私たちはリョーマの家を出発した。
世界の異変
(私は、まだこの世界の仕組みを知らない)