第6章 涙が零れる夢物語の世界
「黙ります。黙りますから現状の説明をプリーズ」
『知らないよ。俺が顔洗って部屋に戻ってきたらアンタが俺のベッドに寝てたんだから』
「一応言わせてもらうけど、私の場合、寝て起きたら今の状況だからね」
『ふーん。取り敢えず出てって?』
「…君は、アタフタしてる女の子にいきなり出てけとか言っちゃうんだ」
『不審じゃん。ってか、俺学校行かなきゃいけないし』
「…学、校…」
青学に行けば周助が居る、彼ならきっとーーー。
「……本気でお願い!連れて『やだ』
「まだ途中までしか言ってない」
『何となく。で、何?学校に連れてけばいいの?』
「連れてってくれるの!?」
『ココに居られても迷惑だしね』
…何て言うか、本当に容赦ないなこの子。
言葉のトゲがザクザク刺さるよ。
『…あのさ、えーと…』
「芹佳です、高津芹佳」
私、只今…リョーマくんの時間割を揃えてます。
『芹佳サン。連れてくから別に手伝いとかいらないってば』
「いや、むしろさせて」
だって、周助に会わせてもらうんだもん。
ソレくらいさせてくれよ。
私はガサゴソと彼のテニスバックに教科書やらを詰め込んでると
視界の先に、見るからに少女漫画っぽい一冊の漫画本が。
…リョーマくんでもこんなの読むんだ。
本のタイトルは、《DREAM or REAL・1巻》。
ちょっとした興味から、私はその漫画をパラパラと捲って行く。
お、この主人公たち、私と紗耶にそっくりだー…
…ん?んん?んんんっ!!?
「…リョーマくん、」
『リョーマでいい、何?』
「…この漫画、ナンデスカ?」
『漫画?…ああ、先輩に借りたやつか。読まないって言ったのに無理矢理押し付けられた』