第5章 これが私たちの世界です
(act.04‐夢舞う姫君‐)
「…おー、周助カッコイー」
『ありがと、芹佳も可愛いよ』
にこりと笑みを浮かべてそう言う周助は
どこぞの王子様かと思うほどだ。
って言うか、どっかの国の王子様だと言っても誰も疑わないよ。
(景吾もカッコ良いけど今の私には周助しか見えてない)
『ーーそろそろ時間か?』
「うん、そろそろよ」
『って言うか、生徒たちだけじゃないんだ』
「凄い人数、でしょ。…ほぼ全員の保護者が揃ってるんだよ」
『やっぱりあたしには無『いい加減諦めろ』
「紗耶、もう開き直っちゃいなよ」
《ーー長らくお待たせ致しました。それでは、只今より高峰学園・盟星学園の合同ダンスパーティーを開催致します》
そんな放送の声が響くと、紗耶は顔を真っ青にして手を組むと軽く震え出した。
『…ど、どうしよう芹佳…足が、竦んで…』
…やっだ、あの強気な紗耶のこんな姿、超貴重。
いや、ごめんなさい不謹慎でした。
私は、紗耶の背中に手を添えると優しく叩く。
「大丈夫だよ、紗耶。今日の為に頑張ったでしょ?」
『え、えぇ…』
『ーー紗耶』
『な、何…景吾、『お前のパートナーは誰だよ、あーん?』
『…景、吾』
『そうだ紗耶、お前のダンスのパートナーはこの俺様なんだぜ?』
そう言うと景吾は紗耶の手をスルリと取り…何と、
なーんーとーっ!紗耶の手の甲に景吾の唇が触れた。
『お前は周りなんて見なくていい、ーー俺だけを見てろ』
《ーーそれでは、今年度代表者に盛大な拍手をお願い致します》
鳴り始めた音楽に大きな拍手が聞こえて、
周助は、スッと私に向けて手を差し出した。
『ーーお手をどうぞ、お姫様?』
「え、あ、…うん」
その行動にトキメいてしまうのは仕方ないと思う。
だって、きっと誰よりもハマり役だと思ったもん。