第5章 これが私たちの世界です
(side*跡部)
『ーー余裕だ』
「上等。皆、5分以内に彼の支度をお願い」
『『『はいっ!!』』』
「景吾は準備しながら今から見せるダンスのステップを軽く流して見てて。準備が済んだら私と合わせてもらうから」
『OK』
そして、目の前でダンスの流れを先生と踊ってみせる芹佳。
その姿は軽やかで、俺は軽く見惚れてしまったーー。
それから、本番までの15分間は凄く慌ただしかった。
「ーー景吾、もし間違えても気にしないで。私がフォローする」
『はっ、俺様を誰だと思ってんだ、間違えるかよ』
冗談じゃねぇ、自慢じゃねぇがダンスは小さい事からやらされてきたんだ
この跡部景吾が女にフォローされてたまるか。
(side*紗耶)
《それでは、只今より前年度代表者によるお披露目を開始致します》
『あ、始まるわ』
『…ねぇ、紗耶。お披露目って何?』
周助がキョトン、とした顔でそんな疑問を口にした。
『毎年行われるダンスパーティーには各学園に代表者が二人ずつ居るのよ』
『うん、今年は僕と跡部って決まった』
『代表者は、そのダンスパーティーで皆の前で踊るの。まぁ、所謂前座ってやつね』
『へぇー。それを今年は僕と跡部がやるわけだ』
それは光栄だな、なんて周助が楽しそうに笑った。
『ーーで、お披露目って言うのは、前回の代表者が今年の代表者に向けて去年こんなのを踊りました、ってダンスを披露する場なの。ちなみに、高峰ではその後に代表者が発表されるのよ』
『あはは、ダンスが苦手な紗耶は選ばれないといいね』
『ランダムで決まるわけじゃないんだから選ばれるわけないじゃない』
…冗談じゃないわ。
選ばれるわけないけど、選ばれたら死ぬ気で拒否してやる。
《それでは、前年度代表者に盛大な拍手を》
大きな拍手が起こる中、姿を現した代表者4人。