第5章 これが私たちの世界です
(act.02‐代表者発表‐)
(side*跡部)
『…あーん?』
『芹佳の声、ね。何かあったのかしら…とにかく、行ってらっしゃいよ景吾』
『行ってらっしゃいよ、じゃねぇよ。どこだよ広間』
俺がそう言うと、紗耶はキョトン、とした顔で
『ダンパお披露目メンバーの控室』
ーーそう、言い放った。
『…だから、場所が何処だって聞いてんだ。場所も分からず行けるか』
『場所は…んー。あ、来た』
『あん?』
俺たちの前方から、わらわらと3人の女子が現れた。
そして、彼女らは俺の姿を確認すると、
『跡部景吾様ですね?』
そう言って、二人は両腕を、もう一人は背中を押し、俺をどこかに連れて行こうとしだしたのだ。
…ーー何だこれ、白昼堂々集団誘拐か?
『お、おい紗耶っ…』
『彼女たち、芹佳の親衛隊なの』
『…親衛隊、だと?』
『そ、だから誘拐とかじゃないから安心していいわよ?そのまま3人が芹佳の所まで連れてってくれるから』
“急いで下さい”と言う3人の声に俺は連れられるがままに着いて行くしかなかった。
…本気で一体何なんだ、突然。
そして、辿り着いたのは、氷帝学園に負けず劣らず、な装飾が施された広間だと思われる部屋の扉。
『芹佳様、跡部景吾様をお連れしました。』
「入ってちょうだい」
一人の女子が扉越しに声を掛けると中から聞こえたのは聞き覚えのある凛とした高い声。
扉が開くと、姿を現したのはーー…ドレスを身に纏い、
化粧を施した見慣れぬ姿の芹佳が居た。
『随分イイ恰好してるじゃねぇか』
「ありがとう。で、景吾。あなた、10分でダンスのステップ一曲分覚えられる?」