第4章 幸せな日々よ永遠に
(act.02‐本能と危機感‐)
『…芹佳、どさくさにまぎれてセクハラは良くないわ』
「なぜバレた」
私の手は、周助の着ていたパーカーのポケットへと差し込まれていた。
………暖かぁーい。
『むしろ、そんなに堂々とやってて何故バレないと?』
『え、ちょっと待って二人とも。ポケットに手を入れられてるだけなのに、僕、セクハラされてるの?』
『そうよ』
「うん、あわよくば私の手はお腹から腹筋に上がる予定だった」
『周助はもう少し危機感を身に付けた方がいいわ』
『そうみたいだね。温かい飲み物入れるよ、入って』
周助がドアに鍵を掛けて、彼のエスコートで部屋に入ると、
『おっ、紗耶に芹佳やん。いらっしゃーい!』
「おー、侑士ー!どりゃ」
『…ぐはっ』
私は、真っ正面に居た侑士に勢いよく抱き付いた。(体当たりとも言う)
紗耶サンは、と言うと…荷物をその場に置いて、
『…景吾』
『あーん?』
『…ーー抱っこ』
『……あん?』
『抱っこ、して?』
…上目遣いで、潤んだ瞳で、景吾サンを悩殺、してました。
さぁ、どうする?どうするの跡部景吾っ!!
『来いよ』
…うわぁお、笑顔で快諾(笑)。
紗耶はソファーで両手を広げた景吾の懐にもふりと入り込み
ーーぎゅっ、っとその腰元に抱き付いた。
『…ーーぐー』
『寝やがった!?』
「うわ早っ。三秒で…めーずらし」
『芹佳、これは寝かしといていいのか?』
「景ちゃん。あー、うん…できれば寝かしてやって?」
『何かあったのか?』
「国光。うん、ちょーっと寝不足らしくて」
『それなら仕方ねぇな』
景吾は苦笑を浮かべると洋書片手に紗耶の背中を
一定のリズムで優しくポンポンと叩き始めた。