第3章 未だ信じられない現実
(act.02‐予感は確信です‐)
「いやあんっ、耳元で囁かないでーお耳弱いのー」
『お黙りなさい』
スパンッ、と叩かれて紗耶から離れると彼女の真剣な表情に私も表情を引き締めた。
「ーーで、何が?」
『“テニスの王子様”自体がこの世界から消えちゃったことよ』
「あぁ」
『…あぁ、じゃなくて…』
「いや、だってさ?周助たちがこの世界に居るだけで私は満足だし?」
『……そう』
「うん」
そう、この世界から“テニスの王子様”そのものが紛失(何かが違う)…跡形もなく消え去った。
今日の朝、私たちは一度ホテルから紗耶の家に戻った。
学校の準備と、パソコンにメールが来てないか見に行ったのだ。
『…芹佳、メールが来てる』
そしたら案の定、紗耶のパソコンには一通のメールが届いてた。
あと、パソコンの横には見覚えのない通帳とカード、
桁がおかしかったことには見ないフリをした。
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吉井 紗耶さま・高津 芹佳さまへ
事後報告ですが、あなた様方の世界にある“テニスの王子様”関係の物は全て排除させて頂きました。
並びに、キャラの為の必要費用(学費・生活費等)は、以下の指定口座に振り込ませて頂きましたので、ご確認くださいませ。
追伸;何か不都合な点などがありましたら、メールにてご返信下さいますようお願い致します。
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周助たちがこの世界に来た事により、“テニスの王子様”が排除されたのだ。
「…紗耶、私たち…とんでもないことしちゃったのかなぁ?」
『芹佳…?突然、どうしたのよ?』
「だってさ…?テニプリが“生きがい”って人が居たかもしれないじゃない?」
『そうね…』
「…私たちは、そんな人達から…ーーま、いっか!」
『芹佳?』