第2章 物語の始まりはーー
『待ってくださいよ。芹佳さんは俺のッスよ』
『赤也、起きてたのか?ってか、何抱き付いてんだよ!』
そして、赤也に抱き付かれた。
…何、この可愛い生き物、襲っていい?
『芹佳、変な事考えるのはやめなさい。彼らが相手じゃシャレにならないでしょ』
「紗耶こそ、私の心に秘めた想い読むのヤメテ?」
『ふふっ、僕らじゃシャレにならないってどういう意味かな、紗耶?』
『そのままの意味よ。周助なら伝わるでしょう?』
『くすっ、まぁね』
え、真っ黒対決ですか!?
って言うか、伝わっちゃうんだ。
『…不二、その辺で止めておけ』
アレ、対決止められちゃった。
止めちゃダメだよ、これからが面白そうなのに。
『手塚、起きてたの?』
『さっきから起きてはいたのだが…』
「えーと、国光、って呼んでい?」
『ん、あ、あぁ』
「国光の心の声を代言すると周助と紗耶の黒さに声を掛けられなかった、と。国光合ってる?」
『合ってないっ!』
『へー、そんな事思ってたんだ、手塚?』
『いっ、いや思ってないっ!!』
「やっぱ国光っちゃんって呼んでい?」
『…突然だな。少しはこの空気を読もうとは思わないのか』
失礼な。空気読んでるよ。
読んでるけどその時に聞かないと気が済まないんだよ。
恨むなら勝手に黒い対決した二人を恨んでよね。
『ダメよ、国光。この子KYだから』
「KYとかやめてちょ。んで?」
『…好きに呼んでくれて構わない』
「うい。では、国光で」
『……結局そこに戻るのね』
「うん」
『…どうしよう、芹佳がわからない…ってか、おかしいわこの子っ!!』
「わー紗耶サンご乱心だー」
『失礼ね。誰がご乱心よ、あたしはいつだって正常よ』
…どうしよう、自分で正常とか言ってるこの子っ!