第2章 物語の始まりはーー
(act.04‐決定事項‐)
驚いたみんなの反応を尻目に、侑士が弛く笑みを浮かべた。
『…へー、女版・跡部みたいやなぁ』
『……芹佳が、お嬢様だと!?』
「イエス」
『紗耶じゃなくてか?』
『あたしじゃないわ。正真正銘、芹佳は高津財閥のお嬢様よ』
『…跡部、芹佳に失礼やで?…って芹佳は何してんねん』
侑士の言葉にはシカトを貫いて、私は手に力を込めた。
『…んー。…皆、早いね?…ーー芹佳?』
「何スか。周助サン」
『いや、それはこっちのセリフ。どうしたの?』
なぜ、周助がこんな質問をしたかと言うと、
そら、寝ている周助のベッドに潜り込み、
引っ付いてたらびっくりするわな。
お目めを見開いて驚いてた。
漫画とかテレビじゃお目にかかれない素敵な素顔がカッコ可愛いかったです。
周助に実は、と前置きをして一緒に起き上がり、
「きっ、聞いて周助っ!!…べ、べーさまにイジメられたの…っ!」
そう言って、顔を手で隠して泣き真似をしてみた。
ーーー泣き真似をしてみたら、
『跡部?何してくれてんのかな、僕の芹佳に』
彼はそう言いながら、腰に腕を回して来た。
…あぁ、もうドウにでもシテ。
そんな事を思ってるとーー、
『待てぃ。いつからお前(不二)のモンになったんだよ!芹佳は俺のモンだろぃ?』
誰かに肩を引き寄せられて顔を上げれば
至近距離にある、ブンちゃんの顔。
…もう、死んでもイイ。