第2章 物語の始まりはーー
(act.03‐発動しないインサイト‐)
一夜が明け、私たちは彼らの部屋の前にいた。
「おはようございます高津芹佳です。只今、時間は午前4時。良い子はまだ夢の中の時間帯…!そんな中!私と!紗耶は!」
『芹佳、もういいから』
「…あい。えっと今から王子達の部屋に侵入したいと思いまーす」
機嫌悪そうな紗耶に背中を押されながら
私たちは足音を立てずに部屋の中へと入った。
「紗耶…っ!周助とブンちゃんが寝てるよ…!」
『当たり前でしょ』
「写メ!!」
『やめなさい馬鹿。漫画(アニメ)キャラでも寝なきゃぶっ倒れるわよ』
それもそうか、と少し紗耶の言葉に関心しつつも
止まらない弛んだ笑みで(←)王子達の寝顔観察。
『その締まりのない顔を何とかしなさい』
「無理です」
『即答しないの』
しっかし周助は本当に男なのかな…?
周助の顔を覗き込みながら私はそんな疑問を抱いた。
「…きっれーな顔」
『芹佳、不二が男じゃなかったらテニプリ界から消されるわよ?』
そうだよねー…ん?んんん?
「さっ、紗耶!?わっ、私声に出してなかったよね!?」
『さぁー…どうだったかしら』
ーー紗耶サン、いつそんな魔術覚えたんスか。
しかも親友の私に黙って。
『つい最近よ』
「そう、すか」
大した反応が返って来ないから、と紗耶を見ると
誰かに熱い視線を送っていた。
「…紗耶、さっきから誰見てんの?」
『…だ、誰でも良いでしょ』
…紗耶が照れてる、これは珍しい上にスッゴい貴重な事だ。
記録に残さねば、と私はバレないよーに
こっそり携帯を取り出した、ーーが、