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DREAM or REAL【テニスの王子様】

第8章 見た夢はあまりに儚くて



ーー私と紗耶の顔写真が映っていた。

テレビを見た後の紗耶ときたら何て言うか、

死人みたいな顔をしてました。



『全国にあたしたちの顔が…もう、いっそこのまま逃亡しましょうか』

「落ち着いて紗耶!」



混乱って言うか、人生終わったみたいな顔をする紗耶を

何とか宥めて自宅に電話させ、私も家に電話を掛けた。



《ーーもしもし!》



聞こえたのは、聞いた事のないほど焦ってるお父様の声。

…ちなみにコールはまだ一回も鳴ってない。



「…も、もしもし?お父様?」

《芹佳、なのか…?》

「ごっ、ごめんなさい!連絡もしないで…」

《…事件に、巻き込まれたわけじゃないんだな?怪我して動けない、とか…》



電話の向こうで、お父様は泣いてるのかもしれない。

何となく、そんな気がした。



「ーーうん、何ともない」

《…今、どこに居るんだ?迎えに行くから場所を言いなさい》

「お父様が、買ってくれたマンション…に、居るわ」

《友人の吉井さんも一緒か?》

「うん、一緒に居る」

《彼女の両親も連れて行く、何があってもそこに居なさい》



それから数分後、部屋のチャイムが鳴って現れた紗耶の親は

お父様が用意した車で彼女を連れて家へと帰って行った。

…私は、と言うと…たった今、お父様に痛い平手打ちを食らいました。

そして、お父様とお母様は二人揃って私を強く抱き締めた。



「…お母様、お父、さ『私たちが、どれだけ心配したと思ってるんだ!』

「ご、ごめんなさいっ、」

『連絡の一つもよこさ、ないで…お前が殺されてしまったんじゃないか、と…っ、』



涙を含んだお父様のその言葉の前で、強がる事などできるわけもなく

私も、二人の服を掴んで、両親の前で初めて声を出して泣いた。


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