第8章 見た夢はあまりに儚くて
「ーーごめん、なさいっ…ごめ、…なさ、っ…」
『もういい、お前が…芹佳が無事に戻って来てくれただけで…』
その後、お父様は婚約を破棄する、と言ってくれた。
けれど、私は、その婚約を自らの意思で受ける、と言ったのだ。
『いいのよ、無理しなくて』
「…その人は、お父様が認めた人でしょう?」
『それはもちろんそうだが…』
「だったら、何も不満はないわ」
『…芹佳。一つだけ言わせてほしい、今まで放ったらかしにしてたのは…悪かったと思ってる』
「…うん」
『けれど、私は一度もお前を人形だなどと思った事はないし、お前の望む形ではなかったかもしれんが、私なりに…芹佳を愛してたんだ』
「その言葉、聞けただけで満足よ。ーー私は、その人と幸せになります。けど…」
『けど、何だ。思ってる事を言ってみなさい』
「…2年だけ、“婚約”って形で、時間が欲しい」
『ーーそんなの、当たり前だろう?お前が彼と付き合って、二人でよく話し合ってそれで、結婚してもいいと思った時で遅くない』
「うん」
『芹佳の自分の目で、彼を見極めなさい』
「…ありがとう、お父様」
『どうしても駄目ならば、その時は婚約破棄をすればいいさ』
そう言って笑ったお父様に、私も笑みを零した。
ーーこんな風に笑い合ったの、初めてだね。
これからきっと、たくさん話して一緒に笑って、
そんな、本当の家族になれるよねーー。
ずっと応援してるよ
(だからあなたたちも、私たちを応援してて)
さようなら周助、さようなら皆。
でもね、私たちはあなたたちの事、
ーー絶対に忘れないよ。
皆が精一杯頑張れるように、応援してるから。
グッバイ、
My、DREAMライフ!!