第8章 見た夢はあまりに儚くて
(act.03‐ずっと応援してるよ‐)
「今日はこのままここに泊っちゃおっか。さすがに帰りづらいし」
『そうね、一日くらい…思い出に浸っちゃいましょ』
「お腹空いたね!ピザ食べたーい!」
『なら、あたしシーフード。テレビつけていい?』
「うん、ついでに電気もね。紅茶でいいよね」
『ええ』
紗耶が部屋の電気とテレビを付けると明るい色が部屋に灯った。
《ーー財閥の一人娘とその友人が行方不明になり一ヶ月が経ちました。捜索願提出後、未だ、発見はされておりません》
紅茶の準備をしながらテレビから聞こえる声に耳を傾ける。
『一ヶ月も行方不明だったら大抵死んでるか事件に巻き込まれてるかよねー』
「そうだねー、誘拐とか?」
『そうそう。どっちにしろ、望みは薄いでしょうね』
そんな話をしながら、紅茶を持って紗耶の座るソファーへと向かう。
「ん、熱いよ」
『ありがと』
「で、誰が行方不明なの?」
『何とか財閥の一人娘と、その友人だって』
「財閥のお嬢様なら誘拐の線が濃いかもねー」
1ヶ月か、見込みは薄いかもだけど、元気な姿で見つかってほしいな。
二人でソファーに座って一口紅茶を口に含んだ…、
《もう一度繰り返します。高津芹佳さん(15)、そしてその友人である吉井紗耶さん(15)が行方不明になり一ヶ月が経ちました。見掛けた方が居ましたらご一報をお待ちしています》
ーーその瞬間。
「『ーーブッ、』」
私たちは二人して同時に紅茶を吹き出した。
「…はっ!?聞き間違い!?私たちが行方不明!!?一ヶ月!?」
『芹佳、アレ…』
「…わぉ」
紗耶が指差したテレビを見ると、そこには…