第7章 それぞれの想いはーー
(‐痛みの原因*跡部‐)
全員が俺の家を後にすると、俺は溜息を吐きながら
『…ふざけんな、何の冗談だよ』
半ば倒れ込むようにソファーへと腰を下ろした。
『……誰か居るか?』
『お呼びでしょうか、景吾様』
『…悪い、冷たい飲み物を用意してくれ』
『かしこまりました』
メイドの一人にそう告げて、部屋を出て行く彼女の背中を見送った。
暫くして、アイスティーが運ばれて来ると
俺はソレを一口飲んでまた、ソファーへと倒れ込んだ。
そしてーー…俺はそのまま意識を手放した。
ー「景ちゃん、けーいご」
『ーー…景吾、』
「『…お願い、思い出して…』」ー
本当に、誰なんだお前らは。
…思い出す?
ーー何を?
俺たちは、大切な何かを忘れてんのか?
ー「あ、べーさま!おはよう!」
『…景吾。この子は、高津芹佳って言って、高津財閥の一人娘なの。で、高津財閥は日本でも三位に入る程よ』
『あたしじゃないわ。正真正銘、芹佳は高津財閥のお嬢様よ』ー
ーー思い出せ、
ー『抱っこ、して?』
『はい景吾、あーん』
『彼女たち、芹佳の親衛隊なの』ー
思い出せ、思い出せ。
ー『…何でもないわ。とても素敵だったわよ、景吾』
『…景、吾』
「…景吾ってさ、紗耶の事好きっしょ」
「ーーっ!!何なのよ、皆して財閥財閥って!!私だって好きでーー…」ー
ーーあぁ、そうだな。
俺たちは、好き好んでこの家に生まれたわけじゃない。