第7章 それぞれの想いはーー
分かってる、分かってるから…ーー泣くな、芹佳。
ー『ーー仕方ないわよね、あたしたちとは住む世界が違うんだから』ー
消えてしまいそうな、泣きそうな笑顔に、胸が痛んだ。
目が覚めて時計を確認すると、1時間が経っていた。
『…ーー紗耶、芹佳…』
ーーあぁ、ずっとあったこの胸の痛みの原因は
俺がお前を想う気持ちだったんだな。
『…ーーごめんな、紗耶』
世界が違っても、俺はお前を想ってる、
ーーそれだけは変わらない事実なんだから。
『…だから、笑えよ』
自嘲にも似た苦笑を浮かべた刹那、携帯の着信音が鳴った。
『もしもし』
《跡部…俺、思い出したんや》
『ーーああ、俺もだ』
《他の4人も思い出して、今さっき電話が来たわ。んで、俺のマンションに集合することになって、今から来れるか?》
『思い出したんだ、行かない選択肢なんざねぇだろうが』
《せやな》
『芹佳は?』
《不二から越前に連絡してこっちに向かっとる》
『そうか、とにかく今から行く』
『おん、待っとるわ』
俺は忍足との通話を切ると、その足で家を飛び出した。
そんなに遠くない忍足のマンションに着けば、
呼び鈴も押さずにドアを開け、ズカズカと部屋に入った。
『ーーっ、』
リビングの扉を開くと、恐怖にも似た紗耶の視線が向けられる。
さっきのように拒絶されると思ってるんだろう。
『あ、の…っ、』
『ごめんな、紗耶…もう忘れたりしないから俺の側に居ろ』
そのまま、紗耶を強く強く抱き締めた。
痛みの原因
(俺は、お前が好きなんだ)