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炎柱

第13章 誘惑 ※裏





ー…んっ?

杏寿郎は、
まだ夜中だというのに
自室で目を覚ました。


彼は鬼殺隊という組織に属しており、
普段は夜、鬼を相手に戦っている。


久しぶりの非番だったが…

いつもの癖なのか、
夜の眠りが浅い。


…これでは、まるで鬼だな。


ふと横を見れば、
規則正しい寝息を立てている、

美玖の姿があった。


普段、鬼殺に出ていて、
屋敷には寝に帰っているようなものだ。


そんな、
決して良い夫ではない俺の事を

いつも温かな…
春の木漏れ日のような笑顔で
文句一つ漏らさず、支えてくれている妻。


…愛おしい…

眠る妻を見ていると、
そんな感情が胸の中を占めていく。

…眠る妻の頬に
自身の指を滑らしてみる。

傷一つない肌は、
なめらかで指に吸い付くようだった。


そのまま、首を伝い、
鎖骨の辺りまで指を滑らす。


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