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炎柱

第12章 お団子





美玖、
餡子追加で出しとくれ!


はい、ただいま!


おじいちゃんの元気な声が、
今日も厨房に響く。


耳が遠いものだから、
私も声を張り上げる。



ここは、何代も続く老舗の和菓子屋。

桜総本舗。


私の父が、
幼い頃亡くなってしまった為、

今もおじいちゃんが切り盛りしてくれている。



よしっいいかな。

餡子を混ぜながら味見をする。


なかなかいい味じゃないかしら…!



密かに、
お店を継いでいきたいと思ってる私は

日々、甘味作りの研究に励んでいる。




ー…


そろそろ、店を開けなくちゃ!


店の戸を開けてのれんをかける。



よしっ!
今日も頑張るぞーっ!



店に掲げたのれんを見て、

気合を入れるのが朝の日課だ。



ふと、後ろから笑い声が聞こえてくる。




はっはっはっは!
今日も朝から元気そうだな、美玖!



振り返るとそこには、
いつもご贔屓にしてくださる、
煉獄家のご長男が立っていた。



杏寿郎様…!
おはようございます!



陽の光に照らされる、
太陽のような髪がよく似合う好青年。


実は、この辺の娘たちの
憧れの的だったりするんだけど…。



ご本人は、
一切、色事には興味がなさそう…

と、みんな思っていたので、

皆、密かに想っているだけなのだ。


かくいう美玖も、
例に漏れずその1人だ。




今日は、何かお勧めはあるか?



っ!はい!
今日はあん団子がお勧めです!

餡子の仕込み、私がやりましたので!



自信作ですっと胸を張ってみせると、

杏寿郎はまた大声で笑った。



はっはっはっ!
本当に、朝から頑張っているな!

よしっ
では、あん団子を5箱程もらえるか?



…!はい、ありがとうございます!



杏寿郎は、
美玖の店に来ると、

必ずと言っていいほど、

大量の甘味を買っていく。



よっぽど、
甘いものがお好きなんだなあ…


ちょっと、意外だけど。


…でもなんだか可愛い。



お団子を準備して渡すと、

ありがとうと言って杏寿郎は帰って行った。




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