• テキストサイズ

炎柱

第9章 継子





お〜人間だ〜。
久しぶりだな〜人間は〜。

しかも、若い娘だ。

若い娘は、美味いんだよなあ〜。


鬼だ。
耳に障る声音とともに、
1体の鬼が姿を見せる。


心臓が、鼓動を速める…。

落ち着け、落ち着け…。


大丈夫、この鬼は強くない。

まだ人もそんなに食べていない。


震える手を動かし、
剣を握る。


師範から託された、師範の剣だ。


柄を握り、剣を構える。


すると、先程までの不安が嘘のように、
頭の中がスーッと冴えてくる。

ゆっくりと前を見据え、
目の前の鬼を捉える。


こちらへと歩を進める鬼の動きを
注意深く見つめる。


…今。


カッと目を見開き、

技を繰り出す。


炎の呼吸 弐の型 昇り炎天 


ちゃんと、技を出せた…!


下から、鬼の頸をしっかりと打つ。

そのまま、鬼の頸は宙を舞い、


地面に落ちる事なく、灰となり消えた。



やった…やったよ…!
師範…私、ちゃんとやれた…!


歓喜に震える。
あの修業の日々は

何一つ、無駄ではなかったんだ。


胸を張り、顔を上げる。


もう何も、臆する事はない!



一週間後、
最初に集まっていた場所へ戻る。


三十人は居たと思ったのに…。


残っていたのは、
私と、もう1人だけだった。


その後、
玉鋼を選び、
隊服の採寸等を終え、


急いで、家路につく。



ー…

どれくらい歩いただろう、
辺りは薄暗くなり、月が顔を出してきた。


煉獄家の門が見える。

一週間、神経を張り巡らせていたからか、
足や腕が限界になってきていた。

もうちょっとなのに、
なかなか足が思うように進まない。


その時、門から人が出てきたのが見えた。



…!師範!


咄嗟に声を上げると、
師範はこちらを振り返る。


!美玖!!


師範だ…私、ほんとに帰ってきたんだ…!


足に喝を入れ、
師範に駆け寄っていくが、
フラフラとよろけてしまう。


いつの間にか、
すぐ近くに来ていた師範が
私の肩を支えてくれた。


美玖!
よく無事で戻った!!


そう言うなり、道の真ん中で抱きしめられた。


し、師範…

はい、私、師範とのお約束通り、
最終選別、生きて戻ってまいりました…!






/ 87ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp