第7章 炎柱の恋
ー……
どれくらいそのままで居たのだろう。
気付くと夜は深まり、
静まりかえった部屋で、
ただ、抱きしめ合っていた…。
だんだんと、
恥ずかしさがこみ上げてくる。
ゆっくり、
身体を離そうと、
杏寿郎さんの胸を押し返す。
き、杏寿郎さん…
あの、もう、大丈夫…です。
本当に、ご心配をおかけして、
本当にごめんなさい。
もう、大丈夫ですから、
だからっ…もう…
離れようと身をよじるも、
杏寿郎さんに、
先程より強く抱きしめられる。
〜〜!!
杏寿郎さん…!
本当に、もう大丈夫です…!
顔が熱くなってくる…。
時間が経ち、冷静さを取り戻すと、
この状況に、胸がどくどくと波打つようだった。
その時、
ずっと黙っていた杏寿郎さんが、
私を抱きしめたまま口を開く。
美玖、先日君は、
俺を慕ってくれていると、
そう言っていたな。
…すまなかった。
突き放すような真似をしてしまった。
黙って、杏寿郎さんの話に耳を傾ける。
今日、街で君を見かけた時、
男達と茶屋に消えていく君を見た時…
唐突に理解した。
…妹と言ったのは訂正する。
俺は、美玖の事を…愛している。
…本当に…?
私は、今、
自分に都合の良い夢を見てるのかな…?
先程まで引っ込んでいた涙が、
またしても溢れ出てくる。
ぼろぼろと泣きながら、
なんとか、声を絞り出す。
…っ…ほんとう、ですか…?
夢だったら…いやですよ…?
杏寿郎さんは
私の顔を覗き込み、
優しく微笑んだ。
安心しろ。夢ではない。
何度でも言おう。
俺は美玖を愛している。
そのまま、
2人の顔が吸い寄せられるように近づき…
どちらからともなく、唇を重ねていた…。
杏寿郎さん…
私も、愛してます。
何度も、何度も、
深く、深く、口付けを交わした。
夜が明けるまで、
互いの熱を感じながら…
fin