第6章 温泉
鴉から受けたお館様の指示で
任地へ向かう途中、
同じ任務ということで、
偶然にも煉獄さんと合流した。
美玖、久しぶりだな!
元気そうで何よりだ!
煉獄さんも、
元気そうで良かったですっ
何でもない会話を交わしながら、進んでいく。
ーー……
辺りが薄暗くなり始めた。
今日は、この辺で休む事としよう!
確か、近くに宿があったな!
煉獄さんと共に近くの温泉宿へ入る。
部屋を2つ頼んだけど、
生憎、1部屋しか空いていなかった。
(えっ、同じ部屋…?!)
内心、そわそわしだす私と違い、
落ち着いた様子で煉獄さんは部屋に入る。
美玖!
ここの温泉はいいぞ!
しっかり休んで、明日に備えるといい!
…はい。そうします。
なんだろう…
本当に、
いつもの煉獄さんだ。
なんだか納得がいかない。
けど、何が不満なんだろう。
よく分からない感情を押さえ込み、
温泉にでも浸かって忘れようと思い、お風呂へ向かった。
〜〜〜!
気持ちいい〜!
煉獄さんの言ったとおり、
最高の温泉だった。
薄く白みがかったお湯は柔らかく、
肌が潤いを取り戻していく。
こんなにゆっくりお風呂に入るの、
一体いつぶりなんだろう…
思い出せないや。
しっかり堪能しようと思い
肩まで浸かり直すと、
湯気の向こうに人影が見えた。
風と共に湯気が流れ、
その人物の髪が見えた。
黄金色の髪に、
毛先の所々が赤みを帯びている。
珍しい…
煉獄さん以外にもあんな髪の人居るんだ…
ぼんやりとそんな事を思い、
すぐに我に帰る。
!!
違う、本人だ…!!
わ、わたし、お風呂間違えた…?