第3章 幸せは苦しみへ
次の日も、さらに次の日も、先輩たちからの嫌がらせは続いた。
顔を殴られたり、ナイフで軽く傷を付けられたり、時には私の部屋の机に葬式の際に投げ入れられる花が飾られていたりもした。
以前の先輩は優しかった。話してても楽しくて、面白い先輩だった。
でも今の先輩の表情は怖い。とても怖い。
(なんで・・・?)
ひどいことに、最近は親友のユウナも話しかけてくれない。
こちらから話しかけに行っても、聞こえないフリをして逃げるように去っていくのだ。
(どうして・・・・・・)
すべての元凶は私があんなことをしたせいだろう。
でも、それは、本当に悪いことだったのだろうか?
彼の承諾はあった。私も失礼のないようにした。
でも、確かに・・・・・・・・・
私とあの人じゃ、いる世界が違う。
(嫌だ・・・・・・・・・)
「どうして、先輩・・・・・・・・・」
この日私は、久しぶりに先輩に口をきいた。
「どうして、ですって・・・?」
先輩はひと呼吸おいてから、返事をした。
「最初はあんたもかわいい後輩だったわ。やることはちゃんとこなすし、言葉遣いもしっかりしてる。でも・・・・・・・・・
あんたはここで働くうちに、得意の料理の才能をどんどん伸ばしていってる。あたしが料理を出しに行ったとき、文官から聞いたわ・・・・・・あんたの作った料理と、あたしが作った料理じゃ、格段に差があるって!!!」
嗚呼、私は・・・・・・邪魔なのね、先輩にとって。
でも、そんなの、知らないわ。
私のお腹を、とても強い力で蹴る先輩の目は、狂気に満ちていた。
意識が暗転した。