第9章 甘い約束
お互いの気持ちを確認し合った私たちは、少しの間まどろみながらお互いの髪を触っていた。
彼の髪は女性のように綺麗でなめらかで、羨ましいわと私が言うと、彼は私の髪の方が太陽みたいでもっと素敵だと言ってくれた。
幸せな時間。誰にも邪魔されない、二人だけの秘密の時間。
「ミルカ」
唐突に、彼が私の名前を呼んだ。
「またですが、とても大事な話があるんです・・・」
彼は言いながら顔を真っ赤にしていて、林檎のようになっていた。
私は彼に支えてもらいながら起き上がり、彼と向かい合って寝台の上で座った。
「えっと、あの・・・少し言いにくいのですが・・・・・・・・・」
ジャーファルさん、どうしたのかしら・・・?
そう思ってしまうほど、彼の態度はなんだかおかしかった。
そして彼は、私が絶対に忘れることのない言葉を告げた。
「私と、結婚してください。ミルカ」
信じられなかった。
そんな、私が、彼の妻に?
嬉しい。とても嬉しい。
これ以上に幸せなことってないわ!
私は溢れ出る涙を抑えて、大きくうなづいた。
彼は私に抱きつき、そのまま倒れこむように寝台に寝そべった。
甘くて、ふわふわした、優しい時間。
こんな時間が、ずっと続けばいいのに。
私のそんな希望は・・・・・・まだ叶うのかなんて分からないこと。
でも、彼がいるから大丈夫。彼がいるなら、どんな絶望も希望に変えられる。
私は今日起こった恐ろしい出来事など忘れて、そのまま彼と一緒に眠ってしまった。
未来に何が起こるか、予想もしないまま。