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歌姫のguardian

第2章 ルフの導き


「へえ、そんなことがあったのね!良かったじゃない!」
そう言うのは私の親友、ユウナだ。
彼女も私と一緒にシンドリアの王宮で料理人をしていて、幼い頃からずっと一緒にいる。
王様より薄めの紫色のショートヘア、それより深い色の瞳。
小顔だし、見た目だけでなく中身もしっかりしてる私の自慢の親友だ。

私は彼女に、今日のあの出来事を話した。
すると彼女は何やら意味ありげにこう言ってきたのだ。
「良かったじゃないわよー。あの人は八人将なのよ?
 迷惑をかけてしまったわ。何かお詫びに持っていこうかしら・・・」

うーんと悩んでいると、急にユウナがぱんと手を叩いた。
「そうだ、貴方の得意な料理はどうかしら?果実水を作って持っていくとか」

なるほど、それならいつも仕事でお疲れのジャーファル様の仕事の励ましにはぴったりかもしれない。
「でも、いいのかしら・・・個人的に、そんなことをして」
「大丈夫よ~、きっと喜んでもらえるわ!」
にこやかに話す彼女。後先のことを考えてないのは見てわかるけれど、彼女の言葉は暖かく、私の背中を押してくれる。
「じゃあ、パパゴレッヤの果汁水でも作ろうかしら」
「いいわねいいわね!・・・おっと、そろそろ寝なくちゃ。
 じゃあ、頑張ってね!」
彼女はそう言い、手を振りながらさっさとこの場を離れてしまった。
「え・・・今!?ちょ、ちょっと待ってよユウナー!」
私の少し裏返った声にも反応せず、彼女は走って行ってしまった。

彼女は準備や片付けを多く担当するので、朝は早く起きなければならない。もうすぐ真夜中になってしまうので、確かに彼女はもう寝所へ行かなくてはならないけれど・・・・・・・・・

「・・・一人で夜のキッチンに立つのも、なかなか怖いのよね・・・」
急に窓が音を立てたりするし、虫が出てきたりすることも希にある。だから私は夜のキッチンが少し苦手なのだ。

でも、私の身を助けてくれた彼にお礼をするためにも、
あまり弱音を吐く訳にはいかない。
私は少しだけ明かりをつけ、なるべく物音を立てないようにして果汁水作りを始めた。
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