第5章 シチュエーション 3
あれからしばらく月日がたち
また不意にこんな話題があがる
中「そういえば前聞かなかったけど
お前好きな人いんの?」
自『俺?うーんわかんない…
なんで?』
久しぶりの話題だったので不思議に思って聞いた
中「いやぁ俺さ…彼氏できたんだよね」
自『え?』
中「ずっと俺のこと好きって言ってくれてたこと
付き合うことにした」
自『…あ、そっか…良かったじゃん…』
中「おう!ありがと!」
目をくしゃくしゃにして笑って
その笑顔がなんだか悔しくて…なんだろ…
なんか、嫌だ…
数日悩んだ
思えば朔也とはずっと二人で気づかなかっただけで
朔也と友達二人で遊びに行くとか、
朔也が他の人に肩に腕を回されているのも
あまり見ていていい気はしなかった
それに…パートナーがいることを知ったとき
気づいた 朔也の隣にいていいのは
俺だけ
某日の放課後 帰り道
中「そういえば俺さ、彼氏に別れたいって言われた」
自『え、なんで』
これは大チャンス到来か、と息を呑む
中「他に好きな人できたらしい
それに朔也くん好きな人いるでしょってさ」
自『別れんの?』
中「今のところはそのつもり…
新しいパートナーとうまくやってほしいし」
自『あのさ…』
中「ん?どした?」
自『俺で、いいじゃん』
消え入りそうな声で小さく呟いた
中「…え?」
自『…っ! じゃあ!俺でいいじゃん…!
だって、だってお前俺のこと…』
中「…」
自『俺のこと嫌いかよ…!』
恥ずかしくて「好きなんだろ」なんて言えないし
顔を赤くして下を向いたまま吐き出すように言った
中「…好きだよ でも別れるの怖いから
付き合わない お前のためだ…」
自『嘘だろ… 俺は絶対にお前を振らないし
振られても一生!死んでもつきまとうし…
それに、もぉ…わかんないけど!好きだから!』
中「…ふっ っはははは っお前、必死すぎww」
自『っな、笑うなよ!』
顔を上げると腹を抱えて笑っている朔也がいた
中「んじゃ、お前にするわ
これからもよろしく」
朔也はこちらに手を差し伸べる
自『こちらこそ末永く!』