第3章 Chandelier/リーチ兄弟
ユウは意を決して着替え、モストロ・ラウンジへ行く。すると、ユウだけでなく、三人も寮服ではなくそれぞれ別の衣装を身に着け料理をもりつけていた。
「お待たせしました。」
恐る恐る声をかけると三人はユウを振り返り、それぞれ褒めていく。それを遮る様にユウは尋ねる。
「これは何ですか?!」
「おや、聞いてませんか?クリスマスパーティです。」
ワゴンセールで見つけても買わない様なド派手なセーターを着たアズールがさも当然のように答える。
ー何あれ。
「クリスマスパーティって…あの、お偉い人の誕生日を祝うアレですよね?」
「えぇ。良い子にはプレゼントが配られるアレです。」
ブラックサンタの衣装に身を包んでいるジェイドが笑顔で答える。
ーカッコいい。これはズルい。
「ぇ…あの…良いんですか?宗教的にというか、派閥というか事務所的に。」
「別にいいじゃん。内輪だけだしさぁ。」
トナカイの着ぐるみを着たフロイドがユウの衣装を整えながら答える。
ー可愛い…。
「そういうものですか。」
呆気にとられつつ、三人の手伝いをする。久々に履いたスカートに足元が落ち着かない。持参した料理やアズール達が用意していた料理は綺麗に皿に盛り付けられている。それをテーブルに並べ終えるとパーティ開始である。
シャンパングラスに注がれたドリンクは特別感を演出してくれている。グリムは待っていましたと言わんばかりに乾杯して早々に口の周りをベタベタにしながら料理を頬張っている。
「毎年こんな感じなんですか?」
ふと疑問に思い尋ねる。
「いつもは年越しだけですよ。二人があなた方と『遊びたい』とのことでしたので、用意しました。」
「そーそー。小エビちゃん全然遊びに来ないし、何か面白いことしたから来るんじゃねって思ったんだよね。」
「ずっと貴方のことを待っていたんですよ。」
いつの間にこの三人からの好感度が上がったのかは不明だが、求められて嫌な気持ちではない。身に着けている服も丈が若干短いことを除けば、可愛いし、三人の姿も可愛らしい。
「それは、すみませんでした。」
来るつもりは無かったとは言いづらい。