第2章 ◆化粧/ケイト
「ごちそうさまでした。美味しかったです。」
「オッケー。じゃあ、帰ろっか。」
満足気な顔が可愛らしい。
「…あっ、私ちょっと買い物があるのでここで。」
「買い物?何買うの?」
「日用品とか食材とかです。」
じゃあと立ち去ろうとするユウとそのまま別れようか悩み後を追う。
「女の子1人だと大変でしょ?手伝うよ。」
「ぇ…でも、重いですし…」
「なら、尚更。姉ちゃん達で慣れてるから大丈夫。けーくんの男らしいとこ見せてあげる!」
「…じゃあ、お願いします。」
買い物はケイトと別れる口実かとも思ったが、メモを取り出し品物を頼んでいる辺りを見ると本当に買い物をする予定だったらしい。時折、馴染みの無い商品の名前も上がったが、サムはテキパキと商品を用意する。
「…何か多くない?」
「“優しい”ケイト先輩が手伝ってくださるとのことだったので、少し買い過ぎちゃったみたいです。」
申し訳なさそうに言っているが、「優しい」と強調したり、少し笑っているところを見ると確信犯だろう。
「はぁ…困った監督生ちゃん。」
大袈裟にリアクションをし、重そうな荷物を選び持つ。
「ふふ…ありがとうございます。」
オンボロ寮に向かいながらこんな時間に二人で歩くのは始めてだったことに気付いた。何度も通った道が全く違って見える。
ー変な気分。
「…変な感じですね。」
同じ感想を抱いていたことが嬉しくなる。
「ね!何か…」
「ケイト!ユウ!!」
自分達を呼ぶ声の方を向くと植物園からトレイが出てきたところだった。
「珍しい組み合わせだな。」
「二人でお茶してたんだ♪」
「じゃあ、今日からのやつはユウが食べたのか。」
トレイがユウのことを名前で読んでいることに不快感を覚える。
「そういうことです。」
そして、それを当たり前の様に受け取るユウに対しても。
「トレイ君はこんなとこで何してたの?」
不快感を押し隠し尋ねる。二人が話しているのを見たくない。
「個人的に育てているハーブの様子を見に来たんだ。」