第8章 ep.07 様々な種行動
シディ
「そこのボスには気を付けろ。吸血鬼には優しいが人間には躊躇がない」
ノム
「なぁ…そいつは何の為にリディアが必要なんだ?」
シディ
「人類を滅亡させる事だ。…その為に昔は吸血鬼を活性化させる薬を使って何度も試してた。成功のためには少しの犠牲は必要だって考えてる」
ヴィンス
「………っ」
ヴィンスはシディから聞いた敵対組織の頂点である者の考えが自分と同じであった事に驚いた。
だが、違うのはヴィンスは救うため…相手は奪うための犠牲を求めている
シディ
「とにかく気を付けろよ。あんたらも」
真剣な言葉に各々が頷いた。
“人類滅亡”という恐ろしい単語に全員が表情を固くした。
そして聞き慣れない“吸血鬼を活性化させる薬”そんなものがあるのかと、下を向いた
シディ
「お前ちゃんと寝てんのか?」
リディア
「寝てるよ。何で?」
シディ
「顔色わりぃぞ」
彼が言った通り翌日の昼から会い、夜になると二人は外へ出ていた。
人の賑やかさから離れるように二人は静かで空気が澄んでいる湖畔に隣り合って座っている
リディア
「……姉さんにね、会えたの」
シディ
「ミィナに?忘れたんじゃなかったのか」
リディア
「うん、見たら思い出した。…姉さんと過ごせて幸せだった…だけど、そのヒューリって人に……殺されたの」
じっと真っ直ぐを見詰めて穏やかに呟くリディアを見詰めるシディの眉は下がっていた
リディア
「でも、姉さんに大好きって言ってもらえた。…嬉しかった…けど…もっと、一緒にいたかった」
何かを堪えるように表情を歪ませるリディアの肩をシディは思わず抱き寄せた
リディア
「もっと…沢山、色んな所…行きたかったよぉ…!」
変だから会いたくない、とは言いつつもずっと一緒にいるわけではないが知り合ってからは、勿論フリントよりは長い。
その為、溜め込んでいた思いが一気に溢れてきた
フリント達を信じていない訳じゃない、だから不安を吐露できた。
もう一つの気持ちもやっと整理が出来て吐き出す事ができたようだ
次々と溢れてくる涙をリディアは止められなくて、それをシディは受け止める様に胸元に顔を埋め服を掴むリディアの後頭部を優しく撫で続ける