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苦しみの [   ]

第6章 ep.05 今度は守るよ




ミィナ
「あの方には…気を付けて」

リディア
「あの方?…ヒューリ、って…人?」


今にも消えてしまいそうな声で姉さんが私の頬に触れながら言葉を溢す


ミィナ
「違う…あの人より、も…恐ろしい方よ。名前は─…」



姉さんはその名前を私に耳打ちして、綺麗な笑顔を遺して灰になってしまった。




【No side】



リディア
「姉さん…」


リディアの膝の上にはミィナが纏っていた衣服だけが遺り、その上に蹲り泣き崩れる。
それを、ヒューリは愉しそうに口角を歪ませて見ている


リディア
「許さない…っ」


リディアは腕で涙を拭うと立ち上り怒りに満ちた顔をヒューリに向ける。


ヒューリ
「ほぉ…また鮮やかになったか」


彼の言う通り先程、鮮やかになったリディアの瞳はまた一段と鮮やかな赤に染まった。
地面を蹴ったリディアのスピードは先程よりも明らかに上がっており、そのままの速さでヒューリの脇腹に蹴りを入れると彼は受け止めきれず初めて身体が少し飛ぶ

更に間合いを詰めてダガーを振るとヒューリの短剣で止められるも、リディアは脚を上げ彼の肩を蹴る


フリント
「リディア…っ」


音が凄いと、良く来る患者からの話でフリント達が到着するとリディアが丁度、肩を蹴りヒューリが怯んだ所だった


ノム
「あれは…リディア、なのか…?」

ミフウ
「そう、みたいだね」

ヴィンス
「あれが…彼女が他の吸血鬼と違うところ、なのかな」


高い音をたてながらリディアとヒューリの刃が何度も重なる


リディア
「返して!姉さんを…返して!」

ヒューリ
「おいおい、死んだ者は返ってこないんだよ…それが分からん程お前は子供なのか?」

リディア
「違う…!」

ヒューリ
「お前も…大切な奴を奪ってきただろう」


その言葉にリディアは目を丸くし心臓を掴まれた様な気分になり動きが止まってしまう。
にやっとヒューリが笑うと彼女のダガーを飛ばし素早く腰へ腕を回し抱き寄せる



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