第6章 ep.05 今度は守るよ
ミィナ
「…っ…リディア、手を出しちゃ…駄目」
苦し気に息を吐き出すミィナを背後に庇いながらリディアは、ヒューリから視線を外さない
リディア
「これ以上…私の姉さんを傷付けないで…!」
ヒューリ
「何を言っている。…お前を捨てた女だぞ?そして今度は…お前を騙してた」
リディア
「私は捨てられたなんて思ってないし、騙されたとも思ってない。…だって姉さんは私を守ってくれた!誰が見たって悪いのは貴方…絶対に許さない!」
ヒューリ
「ん…?」
怒りで昂ったリディアの瞳の色が紫を消し、元の色より鮮やかな赤に染まり、ヒューリはそれを不思議そうに見詰める。
リディアが地面を蹴り軽く飛びながら蹴りをするとヒューリは片腕で防ぐも僅かに身体が動く。
地面に脚をついたリディアは素早く回し蹴りをし、軽く下がると拳を突き出す
それは、今までより力もスピードも増している為一撃一撃がとても重い
ヒューリ
「成る程…だが、今日の俺の仕事はこれじゃない」
リディア
「しまっ…!」
ミィナ
「ぐ…っ…!」
【リディア side】
嘘だ…嘘でしょ?
私が出した蹴りは簡単に避けられて目で追えない速さで私の背後にいた姉さんの方へ…
振り向いた時には姉さんは──…ぐったりしていた
リディア
「姉さん…!」
悲鳴にも似た声をあげ私は慌てて姉さんに駆け寄りヒューリという男を突き飛ばし、姉さんの上体を抱き起こす
リディア
「姉さん…っ…しっかりして」
ミィナ
「リディア…」
リディア
「やだっ…置いてかないで…お願い、っ…消えちゃ駄目…!」
ミィナ
「守って…あげられなくて、ごめんね…っ」
リディア
「そんな事ない…姉さんは、私を守ってくれた…っ」
涙が溢れて視界が見ずらい。
やだ…やだよ…。
どれだけ嫌だと思っても徐々に姉さんの身体が灰になっていく