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苦しみの [   ]

第6章 ep.05 今度は守るよ




ミィナ
「相変わらず強くて優しいね」

リディア
「私は弱いよ。…それに、私なんかよりフリントやヴィンス…ノムやミフウの方が強い」

ミィナ
「どうして?」

リディア
「だって、皆は人間なのに命懸けの事をしてるんだよ。人って少しでも大きな怪我をしたら死んじゃうかもしれないでしょ?なのに、戦ってるの…凄いよね。だから、そういう大切な人を私は守りたいの。私達、吸血鬼は心臓と首…二ヶ所を怪我しなかったら死なないから、多少の怪我くらいどうって事ないでしょ?」


楽しそうに、仲間を尊敬するように話すリディアをミィナは優しく見詰める


リディア
「元々、死にたいって思ってたし…大切な人を守って死ねたら幸せだよ」

ミィナ
「死にたいって…」

リディア
「あ、でも…今私の命は私のじゃないから簡単に死んじゃいけないんだった」


至極当然のように笑って告げる妹の言葉にミィナは、彼女が独りで乗り越えてきた苦しみを想像して表情を歪める


ミィナ
「…あまり盾になろうとしないで」

リディア
「姉さん。私ね…目の前で大切な人がいなくなる方が嫌だよ。だから、命が無くならないなら私はいくらでも盾になる」


姉の手を握り真剣に告げられる言葉に、ミィナは何も言えなくなってしまう。
リディアはすぐに笑みを浮かべて


リディア
「でも、いっつも皆に迷惑かけちゃってるから良いのか悪いのかだね」

ミィナ
「…良い事、だよ。だって…命を助けてるんだから」


この子は変わらないな、ミィナはそう思った。
ただ、変わったのは…彼女が死にたいと思うようになっていた事。
誰に言われたかは分からないが、その命は誰かのものになっていてリディアが今はあまり死にたいと考えていない事に…ミィナは見知らぬ誰かに感謝をした


すると、ミィナの肩に僅かな重みがきて彼女が顔を動かすとリディアが頭を預けていた


リディア
「私ね…姉さんに会えて良かった」

ミィナ
「リディア…」

リディア
「姉さんの事、大好きだよ」


愛らしい笑みを浮かべて告げる妹に、ミィナは沢山の幸せが込み上げてきた


ミィナ
「私も…リディアの事、大好きよ。貴女が妹で幸せ」

リディア
「ふふ…私も姉さんが姉さんで良かった」



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