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苦しみの [   ]

第6章 ep.05 今度は守るよ




──???



ヒューリ
「上手くやっているのか?」


問われた人物は一瞬、驚いた様な表情を見せたものの次には笑みを浮かべて言葉を返した


ミィナ
「え?あぁ、勿論。…完全にこちらを信用してるわ」

ヒューリ
「そうか」


満足そうに呟きその場を去っていく。
その後ろ姿を残った人物は無表情で見送る─…











リディア
「ふぅ…間に合った」


リディアは机に両手をついて安堵の表情を浮かべる。
それを部屋に戻ってきたフリントが見付けて近付き


フリント
「大丈夫か?」

リディア
「うん、倒れる前に間に合った」

フリント
「良かったな」


吸血衝動抑制薬が改良されてからの効き目は一週間になった。
時々、気を抜いてしまうらしくこうして慌てる事になるのが最近の悩みだ

だが、彼女の主食は血だ。
人間の食事ではあまり満たされる物がない為、フリントが以前の様に腕から吸血をさせているのは数は減ったが、変わらない。



フリント
「どっか行くのか」

リディア
「うん。姉さんの所に!」

フリント
「またか。…気を付けて行ってこいよ」


楽しそうなリディアをフリントは笑いながら見送る














ミィナ
「ねぇ、リディア覚えてる?」

リディア
「ん?何を?」

ミィナ
「昔…これと同じくらい大きな木を登った事」


爽やかな風が吹く草原に腰掛けながら、背凭れにしている大きな木をさしながらミィナが言うとリディアは記憶を辿る


リディア
「うっすらとしか、覚えてない」

ミィナ
「…私達で高い所まで登ったの。そしたら、私が脚を滑らせちゃってね。…落ちた私を庇って、貴女が下敷きに…私の代わりに怪我をした。昔から人を庇っちゃう子だったから、今も無理してるんじゃないかって心配」


姉からの視線をリディアが絡めると、彼女は小さく笑んで木を見上げた


リディア
「私が庇うのは大切な人を守りたいから。勝手に身体が動いちゃうんだ。…私だって悪い人の為に怪我したくない。そこまでお人好しにはなれないよ。…フリントにはお人好しって言われるけど」


苦笑しながら話す妹をミィナは眩しげに目を細めて見詰めた



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