第5章 ep.04 貴女と居たい
また会う事を約束してミィナと別れて、拠点に帰ってきた二人をヴィンスは待っていた様で嬉々とした顔で迎える。
ヴィンス
「さぁ、ごらん!」
リディア/フリント
「これは…?」
見せられた物は小袋に入った錠剤が二種類。
理解できない二人とヴィンスの間には大きな温度差がある
ヴィンス
「良いかい?これはね、リディア専用の吸血衝動抑制薬…そして、こっちは香水の匂いに耐えられる薬だ」
リディア
「凄い……でも、香水の匂いに耐えられる薬って?」
ヴィンス
「君、買い出しに行く度に体調が悪くなって吐いちゃうだろう?だから、これを飲めばそれがなくなって少しでも長く買う物を悩む事が出来るよってやつさ」
小袋を振りながら説明するヴィンスにリディアは感謝をした
リディア
「ありがと…こんなに凄いの作ってくれるって知らなかったから驚いた」
リディアからの言葉にヴィンスは得意気に笑ってみせてから、二つの小袋を彼女へ渡す。
ヴィンス
「ちなみに匂いの方は長くて五時間の効果がある」
フリント
「すげぇな」
ヴィンス
「ま、俺の手にかかればってやつかな」
フリント
「すげぇもん作ったのに、何か鼻につくんだよな」
ヴィンスはその言葉にも笑うだけで、相当な自信作のようだ。
リディアは渡された小袋を無くしたら困るから、という事で部屋に置きに行く
それから数週間が経ち、リディアの外出頻度が上がった。
理由はヴィンスがくれた吐き気を催さない薬があるのと、ミィナに会う事が増えたからだ。
姉の話を聞く度にリディアの記憶は少しずつ思い出されていく、それが嬉しいのか最初の頃にあったぎこちなさの壁は無くなっていた
ミィナ
「船?」
リディア
「うん、それに姉さんも来ない?」
ミィナ
「でも、それはお仲間さんだけで行くものじゃないのかしら」
リディアはかけられた言葉に確かに…と思いつつも姉との新鮮な、成長してからの記憶がここ最近の事しかない。
だから、何かちゃんと記憶に残る事をしたかった
リディア
「皆に聞いてみるから。もし、大丈夫だったら来てくれる?」
ミィナ
「ええ、必ず」
嬉しそうに表情を綻ばせるリディアを見て、ミィナは優しく彼女へ笑む