• テキストサイズ

苦しみの [   ]

第1章 ep.00 また最初から




フリント
「……リディア」


深い辺りまで歩みを進めると膝を抱えた裸足のリディアがいて、フリントが静かに声を掛けると膝に埋めていた顔を上げて彼女は笑み


リディア
「またバレちゃったね」

フリント
「村も家も、また探しゃ良いさ」


肩を竦めながらも軽く笑い飛ばすフリントに、リディアは僅かに眉を下げ







リディア
「ごめんね、フリント。私が…[吸血鬼]だから」








【フリント side】



フリント
「気にすんなって」

リディア
「…フリント」


控え目に俺の名前を呼ぶリディアの細い声を理解し土の上に胡座をかき


フリント
「おいで」


そう告げて片腕を広げるとリディアは素直に抱き付いてきて、胸板に顔を埋める。
こいつは吸血鬼だとバレて親しくしていた人等から殺意を向けられた日には、決まって俺に甘えてくる。
リディアと出会って何度も経験したその行動は何も言わなくても意味を理解できるくらいになった


リディア
「…………」


暫くすると俺の腕の中で規則正しい寝息をたててリディアは眠る。
自分よりも細く小さいこいつが腕の中で眠る度に、守ってやらねぇと…と思う。

俺と出会う前は一人で乗り越えていたであろう出来事を共に乗り越えていこうと、“あの日”から俺の思いは変わらない


これからも…と、眠るリディアに誓いつつ俺も瞼を閉じた─…




【No side】




フリント
「ま、上出来なんじゃねーか」

リディア
「うん、良い場所。…今回は早く見付かったね」


外套に付いているフードを目深に被っているリディアの口元が弧を描いていた


吸血鬼は日の光が苦手で長時間当たると灰になってしまう為、人に紛れて活動し始めるのは大体は夜だ。
だが、彼女は他の吸血鬼とは違うらしく日に当たっても灰になったりはしないものの苦手な様で日中に外出する時は決まってフードを目深に被る



/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp