第5章 ep.04 貴女と居たい
リディア
「あ」
ヴィンス
「ん?どうかした?」
急にリディアが脚を止めると、腕で繋がっているフリントは必然的に止まり。
それに合わせるようにヴィンスも立ち止まって問い掛ける
リディア
「買い忘れしちゃった」
ヴィンス
「それは今日、必要なもの?」
リディア
「うん、夕飯に必要」
フリント
「んなら、買いに行くか?」
リディア
「…うん、良い?」
フリント
「俺は良いぞ。ヴィンスも来るか?」
ヴィンス
「行きたいけど、薬の改良がもう少しで出来そうなんだ」
改良、と聞いたリディアは自分のやつだと理解しヴィンスを見上げてお礼を述べた。
ヴィンス
「いーえ。じゃあ、俺がこれ持って帰るからゆっくり帰っておいで」
ぽんっとリディアの髪を撫でてからヴィンスは軽く手をあげて帰っていった
─────…
────…
フリント
「おし、帰るか」
リディア
「ごめんね、ついてきてもらっちゃって」
買い忘れが終わり二人も帰ろうと踏み出した
?
「リディア…?」
リディア
「え?」
名前を呼ばれて、ほぼ反射的に返事をしてリディアが振り向くと肩までの長さで同じ銀髪を持つ女性が立っていた。
リディアは戸惑った。
人間でもう自分を知っているのは一緒に暮らしているヴィンス達しかいないし、彼女自身も認知していない…筈なのに
リディア
「姉…さん?」
口が勝手に動いていた。
それには自分でも驚いたのか思わずリディアは自らの唇を押さえた
【リディア side】
姉さん?何言ってるの?
私には既に家族の記憶なんてないし、顔なんて当たり前のように覚えてない。
覚えてるのは他とは違う愛をくれたって事と暖かかった事しか…
なのに何で…姉さんなんて勝手に出てきたの?
私は混乱した。
でも、そんな私に気が付いたフリントが絡んでいる腕に力を込めてきたから見上げると私を見ていた
フリント
「大丈夫か」
リディア
「うん…」
私の心が乱れた時、決まって隣を見ればフリントがいる。
それに私は落ち着きを取り戻せる、今だってそう。
ぐちゃぐちゃに掻き乱れそうだった心は少しだけ落ち着いた