• テキストサイズ

苦しみの [   ]

第5章 ep.04 貴女と居たい





「さて、そろそろ出ようか」


その言葉に二人は立ち上がり、男性は当たり前のように紙袋を持ち会計を済ませた。
申し訳なさそうにするリディアと店の外へ出ると、彼女に紙袋を渡し



「お金の事なら気にしないで。楽しい時間をありがとう、気を付けて帰って」

リディア
「こちらこそ。…ケーキ美味しかった。そちらも気を付けてお帰りください」


ゆったりと手を振って男性はリディアとは別方向へ歩いていった。





フリント
「おお、リディア」

リディア
「あ、フリントにヴィンス。二人も今帰りなの?」


リディアが歩いていると後ろからフリントに呼ばれ、振り向くと二人が立っていた。
隣に来たヴィンスがリディアの紙袋を、さらりと奪っていく


ヴィンス
「嗚呼」

リディア
「そっか。…船はどうだった?」

フリント
「想像してたよりもでっかくて、びびった」

リディア
「そんなに?」

フリント
「おう」

リディア
「私も早く乗りたいなぁ」


羨ましそうにフリントを見ながら話すリディアにヴィンスが声を掛ける


ヴィンス
「楽しみにしていて」

リディア
「うん!」

フリント
「お前、調子悪いだろ」

リディア
「え?」

ヴィンス
「そうなの?」


普通に話しているつもりだったリディアは突然のフリントの言葉に驚いた様に首を傾げる。
が、次には苦笑を顔に貼り付け


リディア
「流石だね。…ちょっと香水の匂い嗅ぎすぎちゃったみたいで」

フリント
「やっぱりか。歩くのに支障はないんだな?」

リディア
「うん」

フリント
「ほら、掴まれ」


腕を差し出されるとリディアは素直にフリントの腕に自らの腕を絡める








──???



モーリス
「やはり興味深いねぇ…汝等の話通りであるならあの子より可能性はあるなぁ…ふふ、愉しくなってきた」


誰から報告を受けているのか、低く艶のある声の持ち主の周りには蝙蝠しかいない。


ペロッと細い舌を出す蛇の頭を人差し指の甲で撫でながら、口元は妖しい笑みを浮かべていた─…



/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp