第4章 ep.03 彼と彼女の話
ミフウ
「よし…うつ伏せになって」
リディア
「うん」
ミフウ
「まぁ、けど…見れば見る程…恐ろしい光景だね。本当にありがと…リディア」
リディア
「でも、今助けてもらってるし…お互い様だね」
リディアの言葉に笑みを返すとミフウは気合いを入れる様に息を吐き出す。
ヴィンスが抜いた事により細かい木は無くなっている為、中位の木をゆっくりと抜いていくもののその度に、リディアが力むのが分かり眉を下げる
ミフウ
「抜けた」
フリント
「後はそのでっかいやつだけだな」
ミフウ
「だね」
フリント
「どうすんだ?」
ミフウ
「補充用の血があるんだ。点滴だと間に合わないから、それを飲みながらって形になるね…分かったかい?リディア」
リディア
「分かった」
少し太めの管が刺さった血液が入っている瓶がリディアの横に用意された。
そして、ミフウにそれを咥える様に言われリディアは素直にそれに従う
ミフウ
「痛いと思うが飲むのを止めるんじゃないよ?」
管を咥えたままリディアは、こくこくと頷き痛みに備えた。
木に手が触れたのと同時にリディアは管を通して血を喉へ流し込む
リディア
「んん…!」
引き抜かれる激痛は先程抜かれたものとは比べ物にならず、思わず吸い上げる力が抜けてしまう
ミフウ
「こら!止めるんじゃないよ!」
木を抜きながらもミフウは声を荒らげる。
フリントは見守る事しか出来ず…思わず手を伸ばすとリディアは迷わず彼の手を掴み、忘れず血を吸い上げていく
ミフウ
「抜けた…!」
その声と同時に瓶の中は空になった。
血を飲みながらだった為かリディアの血はベッドと床を軽く濡らしたものの、あまり噴き出さず傷が塞がり破れているのはワンピースだけだ
ミフウ
「お疲れ様、リディア。大丈夫かい?」
リディア
「だい、じょうぶ…ミフウもお疲れ様」
フリント
「二人共、お疲れさん」
労う言葉が医務室には充満した。
だが、流石に疲れてしまったのかリディアはそのまま眠ってしまった