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苦しみの [   ]

第4章 ep.03 彼と彼女の話




フリント
「良くねぇだろ。何だその傷」

ミフウ
「リディアが…あたしを庇ってくれたんだ」

リディア
「私が庇いたくて庇ったの。そんな顔しないで…それに、すぐに傷は治っちゃうし」

ノム
「あ、あのよ…その姿で喋んの…やめねぇか?」


遠慮気味に声を掛けるノムの声にフリントは、頷いた。
木が刺さり貫いたまま話す光景は異様以外の何でもなかった


リディア
「じゃあ…「おい!」


ノムの言葉を聞くとリディアは自らの身体を貫く木を引き抜こうとするので、それを慌てて全員が止めた


ヴィンス
「こんなところで抜いたら君、貧血になるよ」

リディア
「でも、大丈夫だよ」

ヴィンス
「そうだとしても、吸血鬼の貧血は相当きついんだろう?」

フリント
「そうなったら俺がいる」

ヴィンス
「駄目だ。君はさっきまで石化してた。…顔色も良くない。その上で吸血なんてリスクが大きすぎる」


ヴィンスの言葉に流石のフリントも黙ってしまう。
どうやら、石化は生気を吸いとられていた様でいくら体力があるフリントでも身体が重いようだ


ヴィンス
「ノム、ミフウ」

ノム/ミフウ
「?」

ヴィンス
「この森の近くに村があっただろう。そこに馬がいた。三頭程、借りれないか聞いてきてくれないか」


ヴィンスの言葉に二人は力強く頷いて走って行った


ヴィンス
「ほら、フリント。座って」

フリント
「嗚呼、悪い」

リディア
「フリント大丈夫?」

フリント
「お前が言うか」


どう見てもリディアの方が重症なのにフリントを心配する彼女に苦笑をした。
暫くすると二人が馬に乗って戻ってきて、ノムがもう一頭の手綱を持っていた


フリント
「リディア俺の後ろにの…「駄目。フリントは一人で手綱を持って引く体力が少な過ぎる。ノムは馬を操るのが上手いから彼と乗って」

フリント
「おう…」


フリントは自分で馬に乗りリディアを乗せるつもりだったが、ヴィンスに止められ珍しく力なく頷いた


フリント
「何か姫乗りっぽくて恥ずかしいな、これ」

ノム
「我慢しろよ」


ノムの前にフリントが乗るとけらっと笑った



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