第4章 ep.03 彼と彼女の話
リディア
「………っ!?」
何かに気が付いたリディアは慌ててミフウの元に飛び、彼女の手を取って走り出した。
ミフウ
「な、何っ?」
リディア
「此処にいたら危ないの…!」
心臓を刺したのを見てからミフウは耳栓を外していたようで前を見ながら走るリディアの声はしっかり聞こえていた。
リディア
「間に合わない…!」
ミフウ
「……っ!」
焦った様に声をあげたリディアが脚を止め、かわりにミフウに覆い被さるようにして地面へしゃがみこむ。
ミフウ
「一体なにが…」
リディア
「ドドの…最期の抵抗」
ミフウ
「は…?」
─ドォンッ
その時、先程までいた場所で大きな音と共に辺りが明るくなったかと思えば爆風がリディア達を襲う。
が、リディアに守られているミフウは無傷だったものの盾になったリディアの背中には折れた無数の木が背中からはえていた
リディア
「くっ…」
ミフウ
「リディアっ…あんた何を馬鹿な事を…!」
リディア
「だって、私の方が頑丈でしょ?…ミフウを守るのは当然」
彼女の腕の中から出たミフウが焦った様にリディアの背後に回る。
その光景にミフウは表情を歪める
ミフウ
「そうだね、これはあんたじゃなきゃ死んでる」
言葉に笑みが含まれていたが彼女の表情に笑みはない。
細かくなった木が沢山刺さり、それだけでも厄介であるのに一番厄介なのはリディアの細い身体を貫く木だった
ノム
「いた…!」
ヴィンス
「リディア、ミフウ…大丈夫かっ?」
爆発があった方へやって来たヴィンス達が合流すると、その声に反応したリディアが顔をあげ目に涙を滲ませる
リディア
「…っ…フリント…!」
痛みも忘れた様にリディアは立ち上り、フリントに木が刺さらないよう気を付けながら抱き付く
フリント
「…っと、わりぃな…脚引っ張っちまった」
リディア
「そんな事ない…っ、良かった…」
涙を流しながらフリントに抱き付くリディアを見て、ヴィンスは何故か不思議な気分になったが、今はそれどころではないと首を振る