第3章 ep.02 他と違う存在
フリント
「調査するって事だな」
ヴィンス
「うん。さっそく明日、向かおうと思って」
その言葉に各々、頷いた。
──翌朝
全員でドドの森前に立っていた。
ヴィンス
「迷ったら大変だから皆、離れないように行動しよう」
全員
「分かった」
朝だというのに鬱蒼とした森の中は薄暗く、人が暮らしているなんて想像もしないが姿を隠したい者にとってはうってつけの場所なのかもしれない。
だが…
フリント
「見つかんねぇな」
ミフウ
「石になった人なんて本当にいるのかねぇ」
ヴィンス
「取り敢えずこの辺を野営地にしよう。…続きは夜だ。多分、夜の方が確率が高そうだからな」
それから寝床や簡単な食事場が用意された。
夜が来て森の中は温度が下がり、木々が揺れる音が森の恐ろしさを演出する
リディア
「見付からなかったね…」
フリント
「こんだけ広いんじゃ簡単には見付けらんねぇだろ、気長に行こう」
ヴィンス
「だな」
結局、夜に探しに行っても成果はゼロ。
歩き疲れ簡単に食事をとると早々に皆、寝床へと入り身体を休める
カサッ…カサッ…
リディア
「…ん…?」
真夜中に何かの足音に気が付いたリディアが目を覚ますと、ヴィンスの隣で眠っていたノムの姿がない事に気が付く。
ノムを追うと彼は少し離れた所、崖近くの大きな岩に腰を下ろして何かを奏でていた。
その心地良い音色に誘われるようにしてリディアはノムの隣に腰掛ける
ノム
「………っ」
気配に気が付いて隣を見たノムは慌てて吹いていたもの…オカリナから唇を離した。
リディア
「続けて?もっと聴きたい」
ノム
「……っ…おう」
そんな事を言われると思っていなかったノムは驚いたものの、促されるようにしてオカリナに唇をつけまた音色を奏でる。
演奏が終わるとリディアは閉じていた瞼を持ち上げ木々がない崖から見える星空を見上げた
ノム
「昔からオカリナ吹いてるとバカにされてたんだ」
ぽつりと呟かれたそれにリディアはノムの方へ視線を向ける
リディア
「そうなの?じゃあきっと、その人達は耳が良くなかったんだね」
ノム
「は?」
リディア
「だって、こんなに優しくて綺麗な音なのに…ふふ」