第3章 ep.02 他と違う存在
ヴィンス
「前に死にたいのに死ねないって言ってただろ?…それはどうして?」
ヴィンスの問いに全員の手は止り、フリントは止めようとしたが彼女に判断は任せ様と決め口を挟むのをやめた
リディア
「吸血してる時、何で泣いてるのって聞かれた時に教えたのと一緒だよ。もっとちゃんとした事を言うなら…誰かの大切な人を傷付けるから。だから、衝動がきても我慢するの…けど、喉が乾いてお腹がすいて…それでも我慢するの。でも、そうすると…自分が自分じゃないみたいになって…気が付いたら喉の乾きも空腹もおさまってる」
しんと静まる部屋にはリディアの声だけが響き、全員それを耳に通す
リディア
「脚元には死体があるの…私が人生を奪ってしまった人。そんな自分が嫌で…でも、死にたくても死ねない。私は臆病で弱虫だから…自分でも死ねない。……だから、私は貴方に期待をしてた…貴方は私に憎悪と殺意を向けてたから」
ノム
「俺…?」
ヴィンス
「彼は吸血鬼に家族を奪われてるからね」
急に視線を向けられたノムは彼女の言葉に小さく答えるがそれ以上は出てこなくて、ヴィンスが憎悪と殺意を向けていた答えを告げる。
それを聞くとリディアは視線を下げ
リディア
「でも…あれから中々殺してくれない」
空き地での事を言っているのだとノムは理解すると、彼女と同じ様に視線を下げた
ノム
「……気付いちまったんだよ。あんたが他の吸血鬼と…違うって。受け入れようって…だから、殺せなくなっちまった」
リディア
「そう……」
リディアは残念そうに言葉を吐く。
そんな彼女へヴィンスが言葉を飛ばす
ヴィンス
「戦うんだ」
リディア
「どうして?」
ヴィンス
「自分の身と仲間を守るためさ」
彼の言葉にリディアは頭上に疑問符を浮かべる。
死にたい理由を話していて、仲間は分かるが…死にたがっているのに身を守れと言うヴィンスの言葉がリディアには理解できなかった