第16章 ep.15 此処が居場所
モーリスが消えてから一年が経った。
人類滅亡計画は彼が消えた事により白紙になり、今までと変わらない日々が続いている。
フリント
「本当に行くのか」
シディ
「おう。俺は情報屋だからな。情報が無くなったら生きて行けねぇからよ」
フリント
「そうか」
シディ
「けど、一緒に戦って寝食共に出来たのは嬉しかった。…またいつでも会える」
リディア
「そうだね…今まで定期的に会えてたし」
シディ
「だろ?…じゃあ、行くな。また会えんの楽しみにしてるぞー!」
そう言いながら笑顔を残してシディは馬を走らせて去っていった。
シディはこの一年ずっと拠点で暮らしていたが、元 は悠々自適な生活を送っていたし職業柄もあり、どこかに留まる事はしない。
見えなくなるシディの背中を全員で見送った後は各々の時間を過ごす
ヴィンス
「そこ気を付けて」
リディア
「うん、ありがと」
目を瞑らされたリディアはヴィンスに手を引いてもらいながら、少し坂になっている道を上る
ヴィンス
「もう、目を開けて良いよ」
リディア
「…──わぁ…っ!」
リディアの目の前に広がるのは色とりどりの花が咲き誇る、小高い丘に連れてこられていた。
今のリディアは薬を飲むように言われていたため、花の匂いを嗅いでも吐き気を催したりしない
リディア
「凄い綺麗……ヴィンスに出会わなかったらこんなに近くで花を見る事なんて出来なかった」
ヴィンス
「それは良かった。前に花を見るのが好きだってフリントが言っていたから、此処に連れてきたかったんだ」
リディア
「ありがと、ヴィンス」
ヴィンスは花を見て嬉しそうに笑うリディアを見て連れてきて良かったと思うのと同時にあの日、彼女が向こう側にいかなくて良かったと思った。
リディア
「わっ…ふふ、どうしたの?」
ヴィンス
「いや、リディアが此処にいるの嬉しいなと思ってね」
丘に座って見ていたリディアを後ろからヴィンスが抱き締めると、リディアは驚くもすぐに嬉しそうに微笑み