第16章 ep.15 此処が居場所
リディア
「それは、皆が私を助けに来てくれたから…凄く感謝してる」
ヴィンス
「こちらこそだ」
リディア
「あの時、元に戻してくれなかったら…どうなってたか分からないし、想像するのも怖い」
ヴィンス
「…そうだね。ただ、諦めるつもりは全員なかったから…こうなるのは必然だったんじゃないかな」
リディア
「ふふ、そっか」
包まれるヴィンスの温もりを感じながらリディアは幸せに浸る。
本当に帰ってこられて良かったと、何度も思わずにはいられなかった。
ノム
「おーい!そろそろ昼飯だぞー!」
フリント
「さっさと戻って来ねぇと、ヴィンスの飯はないからなっ」
丘の下で大きく呼び掛けられる言葉にヴィンスは驚く
ヴィンス
「え、ちょ…何で俺だけなの!」
ミフウ
「聞かなくても分かるんじゃないか?…ほら、早くしな」
リディア
「はーい!…ヴィンス行こっ」
ヴィンス
「そうだな。…昼飯抜きは勘弁だし」
そうして、二人は三人が待っている丘の下へと走った。
皆で囲む食卓はいつでも賑やかで笑いばかりが溢れ、本当の日常が戻ってきた。
しかし、リディアの瞳の鮮やかさは戻る事は無かった。
が…彼女は以前と変わる事なくこれからもリディアらしく此処で暮らしていく。大事な仲間と愛する人の隣…
此処が彼女の居場所だから─…
─ Fin ─