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苦しみの [   ]

第16章 ep.15 此処が居場所




城主がいなくなった薄暗い城を見ながらリディアは小さく呟いた


リディア
「私ね…人間になりたいって思ってた」

ヴィンス
「え?」

リディア
「そしたら、自分の事を隠さずに生きれた。…だけど今は吸血鬼で良かったって思ってる」

ノム
「何でだ?」

リディア
「どんな私を見ても受け入れてくれる、掛け替えのない仲間を見付けられたから。それに…身体が丈夫な分、大切な皆を守れる。…今回は傷付けちゃったけど」

フリント
「そこは良いだろ」


だが、リディアの晴々とした表情を見た全員は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
彼女がそう思えた事が嬉しかったのだろう


ヴィンス
「リディア」

リディア
「ん?」

ヴィンス
「君に命を返すよ」

リディア
「え…?」

ヴィンス
「だって今の君は死にたいなんて…思ってないだろ?」

リディア
「あ…ほんとだ。これからの未来の事、考えてた。…ふふ…うん!命を返されても私は死にたいなんて思わないっ」

ヴィンス
「良かった」


自分の意識が変わっていた…未来を考える事が純粋に嬉しかったリディアは、思わずヴィンスに抱き付く。
だが、一番この言葉が嬉しかったのはフリントだろう。

彼は長年、死にたがっていた彼女の隣にいた…だから、生きようとするリディアの言葉は本当に嬉しくフリントの視界はぼやける


ミフウ
「おや?泣いてるのかい?」

シディ
「え、まじ?」


楽しそうに顔を覗き込んでくるミフウとシディからフリントは顔を反らす


フリント
「うっせーよ、見んなっ」

ミフウ
「ははっ」

リディア
「フリント…ずっと私と居てくれてありがと。死にたがりを生かすの大変だったよね。でも、フリントのお陰で毎日楽しかったし…生きてこられた。ありがと…これからも宜しくね」

フリント
「……ったりまえだろ」

リディア
「皆も宜しくね!」


リディアの笑顔に全員が当然だとしっかりと頷いて見せた。



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