第15章 ep.14 君を助けたい
フリント
「リディア…」
シディ
「おかえり、だな」
リディア
「ただいま…皆、ごめんね」
ノム
「謝罪なら奴を倒してから聞いてやるよ」
ヴィンス
「嗚呼、そうだね。…まだ終わってない」
完全に自我を取り戻したリディアは、仲間に攻撃する事もなくなり今ではモーリスを睨みあげていた
モーリス
「…っ…人間が…邪魔しおって」
リディア
「絶対に…貴方を倒す!」
余裕をなくしたモーリスは、品のあった顔を崩しジャケットも脱ぎ捨てて…本気であるのが見てとれる。
リディアとシディが床を蹴りモーリスと一気に間合いを詰め息の合ったコンビネーションで、同時にモーリスの腹部に踵をめり込ませる
モーリス
「くっ…」
ヴィンス
「今だっ」
少し離れたところにいた残りの四人が銃を撃ち、それが見事に肩や脚に当たる
モーリス
「く…そ、負けるわけには…いかないんだよ!」
リディア
「わ…っ」
シディ
「……っ」
リディアとシディの脚を掴んだモーリスに二人は飛ばされて、壁に背中を打ち付ける。
が、勿論そんな事で諦めない二人は立ち上り…再び突っ込む
モーリスはシディの刃を簡単にかわし、リディアの蹴りもかわしてしまう
フリント
「おらっ」
モーリス
「ぐ…っ」
フリントが思い切り拳を突き出すと、見事にそれがモーリスの顔面にめり込み…床に倒れる
ミフウ
「今がチャンスだよ…!」
ノム
「やれ!」
肩で息をしながら残されたチャンスに縋り、ヴィンスは持っていたリディアのダガーを持ち迷わずモーリスの心臓を刺す
モーリス
「ぐっ…ぁ…!」
ヴィンス
「俺の仲間と…大切な人を危険な目に遭わせた、絶対に許さない…」
モーリス
「リディアは…渡さん」
ヴィンス
「く…っ」
痛みに顔を歪めていたモーリスだったが、心臓を刺すヴィンスの首をぐっと掴む
リディア
「いい加減にして」
モーリス
「が、ぁ…─!」
冷たくリディアは声を放つのと同時に、躊躇なくダガーでモーリスの首を斬った。
首と心臓を負傷したモーリスは…小さく叫びながら灰になった…。