第15章 ep.14 君を助けたい
【リディア side】
誰?
これは誰の声だっけ…
?
『リディア、戻っておいで。あんな薬に負けるんじゃないよ…っ』
薬…薬に負けるな、って何の事…?
?
『それは君の本心じゃないだろ、思い出すんだ…君が人間をどう思っていたか、どう過ごしてきたか』
人間が憎いと思ってるのは私の本心じゃないの?
私が…本当は人間をどう思っていたか…そんなの
リリィ
「リディアお姉ちゃん!…本読んで?」
イアン
「駄目だよ!今日は皆で森に行こ!」
アンリ
「えぇ、森なんて危ないよっ」
イアン
「大丈夫だって、オレが守ってやるから!」
リリィの母
「リディア…いつもありがとう」
隣のおじさん
「リディア!これやるよ、しっかり食えよ!」
酒場の店主
「今日は俺のサービスだ!好きなだけ飲み食いしなっ」
これ…今まで色んな村で仲良くなった人達。
皆、暖かくて優しくて良い人達…でも、私が吸血鬼だって分かると殺そうとしてきた。
だけど…私は憎んでなんかない。
少しの間でも仲良くしてくれるのが嬉しかった…
仲良くしてくれた人達が殺そうとしてくるのは、苦しかった…けど、それでも良いと思ってた
だって私は…人間が好きだから─…
そうだ…私今、薬を打たれたんだ…。
人類を滅ぼすための…私はそんなの望んでない!
例え生きづらくても、それでも私は人間が好きっ。
それに、私を受け入れてくれる人達がいる…だから…寂しくなんてない
リディア
「私は…人間が、好き…」
【No side】
ミフウ
「……っ」
ヴィンス
「リディア…」
リディアの呻き声ではないちゃんとした言葉が届けば全員が驚いて、彼女を見る。
すると、鮮やかに染まっている赤い瞳から涙が溢れていた
モーリス
「まさか…っ」
有り得ないと思っていたモーリスは、その姿に初めて余裕をなくす