第15章 ep.14 君を助けたい
綺麗にバク転をしたリディアは着地するとフリントに拳を振るも、それをフリントが交わしてシディがリディアの手を掴み飛ばすも壁で方向を変えると、そのままシディへ飛び掛かる
シディ
「…っ…くそ」
何とかそれを交わすものの、リディアの軽い身のこなしと止まる事のない攻撃に全員が疲れ始める。
皆、リディアにつけられた掠り傷はあるものの大きな傷は出来ていない…だが、一瞬も隙が作れない事に焦りを感じる
フリント
「俺がリディアの動きを止める。…したら、ヴィンス…お前がリディアの腕を押さえろ」
ヴィンス
「…分かった」
フリント
「その時がチャンスだ。…ミフウ、失敗すんなよ」
ミフウ
「任せな」
ノム
「オレとシディはリディアの気を引く」
シディ
「よしっ」
ヴィンス
「行こう…!」
それを合図に全員が飛び出し、ノムとシディがリディアの視線に入るように出来るだけ素早く動き、彼女を少しでも混乱させようとする
フリント
「今だ…っ」
タイミングを見計らっていたフリントがリディアの細い身体をしっかりと抱き締め、それを見たヴィンスもすかさず近付きリディアの両腕を押さえる
ヴィンス
「…っまずい!」
リディアの身体を押さえているフリントの首筋に、リディアが牙をたてようと口を開くとヴィンスの焦った声が響く
ミフウ
「させないよ…!」
リディア
「んんっ…!」
大きく開いていた口と鼻をハンカチで覆い、正気に戻す薬を嗅がせる。
この薬が効くかどうかも、賭けであった
モーリス
「ふっ…そんなもの嗅がせた所で効きはしないさ」
モーリスの余裕に満ちた声も気にせずミフウはリディアに薬を嗅がせたまま声を掛ける
ミフウ
「リディア、戻っておいで。あんな薬に負けるんじゃないよ…っ」
リディア
「にんげ、ん…にく、い…」
ヴィンス
「洗脳だ、きっと…そういう言葉を掛けられていたんだ」
ミフウ
「何だって…」
ヴィンス
「それは君の本心じゃないだろ、思い出すんだ…君が人間をどう思っていたか、どう過ごしてきたか」
三人は必死に今がチャンスだと沢山の言葉をリディアに掛ける