第15章 ep.14 君を助けたい
モーリス
「無駄だよ。…彼女は吸血鬼の中でもっとも優れた姫である、吸血姫となったのだ。汝等が知っているリディアじゃない…ふふ、それにしても素晴らしい」
四人もいたのにあっという間に吸い殺してしまった事実に五人は表情を曇らせる
フリント
「嘘…だろ」
ノム
「リディアが…」
モーリス
「はははっ…素晴らしい!大成功だ」
モーリスはリディアの姿に初めて大きく声をあげて笑った。
だが、その姿は狂気染みていて恐ろしいものだった
ミフウ
「……リディア…あんた」
ヴィンス
「ミフウ?」
ミフウ
「リディアはあたし等が知ってるリディアのままだ。…自我を失った今でも心では苦しんでる。小さくて聞こえづらいが…助けてって言ってる」
フリント
「…良かった。あいつが助けを求めてんならやる事は一つしかないな」
ヴィンス
「嗚呼…助けよう」
小さく交わされる言葉も聞こえない程にモーリスは喜びに浸っていた
モーリス
「鎖を解いてくれ。…さぁ、リディア…汝が大事な仲間を手に掛けるんだ。そして、更に強くなるんだ」
吸血鬼達に鎖を外されたヴィンス達に向かってリディアが素早く突進してくる
ノム
「シディ、危ねぇ!」
シディ
「…っと」
ミフウ
「取り敢えずリディアから一瞬でも良い!隙を作るんだっ」
フリント
「分かっ…と、やべ…っ」
ヴィンス
「覚醒ってやつか、これ…厳しいね…リディアは、元々強いのに…っ」
活性化薬を体内に宿したリディアは、元々の強さもあり隙を作るのが難しい。
傷付けたくないという気持ちも作用して戦況は良いものではない
殆ど洗脳のような言葉を掛けられ続け注射をされたリディアは躊躇なく攻撃を仕掛けてくる