第15章 ep.14 君を助けたい
ノム
「……っ」
モーリス
「動くなと言っただろう」
リディアと話す時とは違い、五人へ向けられる視線も言葉も温度を持たない。
モーリス
「さぁ、リディア…共に我々だけの世界を作ろう」
リディア
「やっ…嫌…!」
モーリスが笑みを浮かべながら注射器を持つとリディアは逃げようと暴れるものの、腰に巻かれた鎖のせいで動けない。
注射器の中の液は青く…明らかに怪しい色をしている
リディア
「い、やっ……離して…!」
モーリス
「大丈夫だよ…君なら耐えられる。それに…人間は憎むべき存在だ。何度も裏切られただろう…」
リディア
「そんな…っ…そんな事…」
シディ
「リディア!くそ…っ、見てる事しか出来ないのかよ…!」
徐々にリディアの細い腕に近付く注射針に五人も焦り、リディアも抵抗するがそれも虚しく
リディア
「……っ…!」
ミフウ
「…リディアっ」
腕に刺さった注射針を通して青い液…活性化させる薬はリディアの中に入っていく。
最後まで液を入れられる頃にはリディアは動かなくなっていた。
だが、リディアの体内で心臓が強くドクンッと脈打つのと同時に彼女の身体も強く震えた
リディア
「ぐぅ…──が、あぁぁあぁ…!!!」
苦し気に頭を押さえながらリディアからは聞いた事がない咆哮にも似た声に五人は驚く。
だが、彼等を一番驚かせたのは…
ヴィンス
「リディア…!」
フリント
「おいっ…やめろ!」
見えない程の素早さで怯えていた四人の人間の元に行くと凄い速さで吸血していく。
あんなにも吸血を嫌がっていたリディアが…血を得ていなかったのも重なり効果は絶大のようで。
ミフウ
「リディア!やめな…!」
ノム
「くそっ…おい、リディア!」
シディ
「リディア!」
リディアが吸血している最中にも五人は各々に叫び、リディアを止めようとするが聞こえていないらしくやめない。