第15章 ep.14 君を助けたい
ヒューリ
「さてと、そろそろ行くか」
リディア
「さよなら」
ゆらゆらとてを振るヒューリはそのまま部屋から出て行った。
リディア
「結局、何しに来たんだろ…変な人」
その言葉を最後にリディアはベッドに身を委ねた
ヒューリが去ってから、また数日が経った頃…モーリスがリディアの部屋に来て彼女の腰に鎖をつけた
リディア
「…どこに行くの」
モーリス
「汝が会いたがっていた者達に会わせてあげようと思ってね」
リディア
「え…」
あの日と同じ部屋に入ると後ろで手を鎖で繋がれ、吸血鬼達に拘束されているヴィンスとフリント、ノムとミフウにシディがいた。
リディア
「皆…っ」
モーリス
「おっと…大人しくしていておくれ。汝等も動くんじゃない」
リディア
「……っ」
両膝をつかされてから聞こえたリディアの細い声に全員が顔を上げ、目を丸くする。
少しだけやつれて細くなってしまったが…リディアが目の前で無事でいた事に安堵した
ヴィンス
「リディア…」
フリント
「あいつ…」
ミフウ
「少し痩せちまったね」
ノム
「そういえば…あそこにいるのは…」
シディ
「人間、みたいだな」
五人と同じ様に怯える男女二人ずつが鎖で繋がれている。
意図が分からず不思議に思ったが、今はそれどころではないとリディアとモーリスへ視線を戻す
モーリス
「リディア」
リディア
「……?」
モーリス
「抵抗のつもりだったのかもしれないが…血を口にしないでくれて、ありがとう。…効き目がより楽しみになったぁ」
リディア
「どういう…事?」
モーリス
「ふふ。…汝等、五人には特等席で私の傑作薬の効果を見せてあげよう。…本当なら人間になど見せたくはないのだがぁ…リディアの仲間というから特別だ」
ヴィンス
「…傑作薬…?」
フリント
「…っ、まさか…!」
モーリスの言葉の意味を理解した五人は慌てたように動こうとするが、後ろに控えていた吸血鬼に背中を蹴られてしまう