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苦しみの [   ]

第15章 ep.14 君を助けたい




リディアが捕らわれて四日が経った。


拠点の中は沈んだ空気が漂っていた。
目の当たりにしたモーリスの強さに、何か対策はないかと考えているものの何も思い付かないのが現実。


フリント
「くそ…っ」

ヴィンス
「……困ったな」

ミフウ
「早くなんとか、しないとね」










モーリス
「食べないつもりかい?」

リディア
「………」


広い室内で響くモーリスの声に反応する事なく、リディアはベッドの上で膝を抱えて動かない。

此処、四日間…リディアは何も口にしていない。

モーリスはリディアが食べない事と会話をする気がないのを理解すれば、部屋から静かに出ていく。
だが、そのすぐあと再び扉が開き


ヒューリ
「何だ…えらく静かだなぁ」

リディア
「………」


部屋に入ってきたのはモーリスではなく、ヒューリだった。
ヒューリはリディアが座っているベッドにどかっと腰を掛ける


ヒューリ
「此処を出て行こうと思ってなぁ」


脈絡のない話にリディアは思わず膝に埋めていた顔を上げ、ヒューリに向ける


リディア
「……モーリスの、右腕なんじゃないの」

ヒューリ
「飽きたんだよ、この生活になぁ。…それに俺は人間ごときに殺されそうになった事もない、そもそも誰かと馴れ合うつもりがないからなぁ」

リディア
「可哀想な人」

ヒューリ
「お前は馬鹿だがな。人間など信じる必要もなかろう…ただの食事だ。…興味が湧いて此処までいたが…やはり、留まるのは性に合わん。別に吸血鬼の世界とやらにならずとも俺には関係なかったんだ」

リディア
「変で気分屋な人だね。聞いてた通り」

ヒューリ
「ほぉ?…だが、お前には興味があったんでな話に来てみた。ペラペラと悪かったなぁ」

リディア
「悪いなんて思ってないくせに」

ヒューリ
「これっぽっちもな」

リディア
「モーリスに追われたりしないの」

ヒューリ
「有り得んな。…最初から気分で出て行く約束だったからな」


何故、リディアに此処まで話すのか理解はできなかったのもも前とは違い悪意のない空気にリディアは素っ気なくも会話をする



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